DXを目的にしない
DXは、デジタル技術を導入することそのものではありません。
会社が目指す姿に向けて、データやデジタル技術を活用しながら、事業、業務、組織などを変えていく取り組みです。
顧客への価値提供も重要です。ここでいう価値は、顧客接点や顧客体験だけでなく、品質、納期、安定供給、サービス品質なども含みます。
必要な変化の大きさは会社によって異なります。大きな変革を一度に行う必要はありません。目指す姿に向けて小さく始め、結果を確認しながら改善を重ねる進め方もあります。
最初に確認すること
「DXを進めなければならない」という言葉から始めると、何を実現したいのかが曖昧になりやすくなります。
最初に確認するのは、次のような内容です。
- 会社や事業をどのような状態にしたいか
- 顧客へどのような価値を提供したいか
- 現在の仕事の流れと情報の流れはどうなっているか
- 人の役割や組織の習慣が業務へどう影響しているか
- 今あるシステムやデータを活かせないか
- 何を残し、何を変え、何をやめる必要があるか
DXは、これらを実現するための取り組みであり、言葉自体が目的ではありません。
見直す3つの領域
顧客へ提供する価値
顧客が商品やサービスを選び、受け取り、利用するまでに、どのような価値を必要としているかを確認します。
受付方法だけでなく、品質、納期、安定供給、利用しやすさ、サービス品質など、事業ごとに大切な価値を広く捉えます。
事業・業務・組織
商品やサービスの提供方法、日々の仕事の流れ、情報共有、役割、組織の動き方を確認します。
同じ情報の二重入力、部門間の分断、特定の人への依存など、目指す姿を妨げている状態を整理します。
データとデジタル技術
すでに持っているデータやシステムを確認し、活かし直せるものと、新しく必要なものを分けます。
技術を増やすことではなく、必要な情報を必要な場面で使い、事業や業務の変化につなげることを重視します。
DXを進める5つのステップ
- 01
会社や事業が目指す姿を決める
- 02
現在の事実と、その背景を知る
- 03
残すもの・変えるもの・やめるもの・もっと活かすものを決める
- 04
必要な方法を選び、小さく実行する
- 05
結果を確認し、見直す
一人の担当者へ任せきりにせず、経営者、現場、社内のIT窓口、外部支援者の役割を決めることも重要です。
中小企業では、大きな計画を作ることよりも、目指す状態と優先順位を明確にし、結果を確認できる範囲から始める方が現実的な場合があります。
デジタルガバナンス・コード3.0から分かること
国の「デジタルガバナンス・コード3.0」でも、DXは単なるIT導入ではなく、経営全体の取り組みとして整理されています。
主な柱として、次の内容が示されています。
- 経営ビジョン・ビジネスモデルの策定
- DX戦略の策定
- DX戦略を推進する組織・人材・ITシステム・サイバーセキュリティ
- 成果指標の設定とDX戦略の見直し
- ステークホルダーとの対話
制度の説明をそのまま当てはめるのではなく、自社の規模や状況に合わせて、何が足りないかを確認する視点として活用できます。
DX認定制度から見る、DXを始める前に必要なこと
DX認定制度は、デジタルによって自らのビジネスを変革するためのビジョン、戦略、体制などが整い、DXを進める準備ができている状態を国が認定する制度です。
認定を取得したことは、DXが完成したことを意味しません。国の制度を見ても、DXはツールを導入するだけではなく、始める前の方向づけと、進める体制を整えることが重視されています。
申請を前提にしない場合でも、自社のビジョン、戦略、体制、成果の確認方法を整理する視点として参考になります。
自社の場合を整理したい方へ
ITやDXの取り組み方は、会社の目的や現在の業務によって異なります。何から考えるべきか整理したい場合は、IT方向性ミーティングで現在の状況と次に考える順番を確認します。